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ブレンダ・マドックス

定価: ¥ 2,940
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人気ランキング: 352261位
おすすめ度:

発売日: 2005-08-10
発売元: 化学同人
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すばらしい!
ワトソンの「二重らせん」が、彼本人のみの視線で書かれているのに対し、
こちらは当事者らとはほぼ関係のない第3者である著者が彼女を知る人々への
入念な取材をもとに書いた非常に客観的な記述です。
しかも、当の二重らせん発見の当時だけではなく、
ロザリンド・フランクリンの家系をさかのぼり
時代的、民族的、社会的背景まで入念に書き込んでいて
彼女がどういうバックグラウンドのもとに考え、行動していたのか
とても丁寧に推測しています。
二重らせん報告時のエピソードもさることながら、これが
第二次大戦直後の出来事であるという事実にも驚きます。
こんな、女性に大した権利も地位もない時代に
強い姿勢を貫きとおしたフランクリンに驚かされます。
当時の学術界(特にイギリス)が生々しく描き出される中、
ロザリンド・フランクリンという人物が鮮やかによみがえります。
彼女が世を去るくだりは涙なしでは読めません。
「二重らせん」単独で読んではいけない!と言いたくなります。逆から見た二重らせんスキャンダル
DNA の二重らせん構造を決定するのに大きな役割を果たした、ロザリンド・フランクリンの伝記。
いやー、やっぱり二重らせん構造発見に関わる人間模様はスキャンダラスだったんですねえ。Nature だってイギリスの国威発揚と学会秩序のためなら何でもするし。その辺のことを極めて冷静に、客観的に書いている。
これを読むと、ワトソンの「二重らせん」は自伝と言うより自伝的小説と思った方がいいことがよく分かる。もっとも、「二重らせん」が科学研究のダイナミズムを一般にアピールしたも事実で、読み物として面白くするための悪役がワトソンには必要だったのだろう。出版時期なども考慮すると、ワトソンの倫理観の欠如は明らかだが、小説=芸術だとすると、芸術に倫理を問うのは、八百屋にサンマを求めるようなものだ。
フランクリンの伝記としても、彼女のバックグラウンドから説き起こした、生涯の丹念な記述は、彼女のパーソナリティーを生き生きと描き出しており、すばらしいものだ。イギリスの裕福なユダヤ人家族に生まれた、極めて頭の回転の速い女性。しばしば攻撃的で「頭の悪いやつは嫌いだ」風。西洋人とつきあっていると、しばしば強烈な負けず嫌いに出くわすことがあるが、ある意味そう言う女性だったのだろう。それでも、魅力的な女性であったことを、この伝記は確かに伝えている。
個人的には、悲劇的な結末を持つ歴史小説(辻邦生の「背教者ユリアヌス」とか「安土往還記」のような)が好きなので、途中からは結構引き込まれた。日本人の「色即是空」的な価値観に毒されてるんですかね。
他にも、
当時の生物学研究におけるX線結晶学の重要な役割。
シュレディンガーの「生命とは何か」が当時の物理学者に与えた影響の大きさ。
などなど、認識を新たにしたことが沢山あって、有益であった。ダークレディと呼ばれても不幸でなかった科学者の話
ワトソンの「二重らせん」がベストセラーになったせいもあり、不運な暗いイメージのある女性科学者ロザリンド・フランクリンの生涯を丁寧に追った本です。
自分のデータをワトソンやクリックに勝手に利用され、それも知らず(知らぬふりか?)に後には彼らと共同研究するフランクリンですが、本書を読むと、フランクリンは不運な一時期を除いて、優秀な研究者として認められ、楽しく生きていたことが分かります。実際、業績はすばらしいと思います。(フランクリンの死後、ワトソンやクリックがフランクリンについてあまりよく言わないのは、やはり後ろめたさとそれ故の自己保身の気持ちがあるせいではないかと思い当たります)
DNAの構造発見をめぐっては、フランクリンの堅実な研究者としての姿勢と育ちの良さが自分を不利にしたのですが、大きな研究の流れの中ではその不運も小さなことに感じられます。おそらくフランクリンにとってはノーベル賞も大したことではなかったのでは、と思われます。どんな境遇でも自分を貫いて成功した科学者の一人という印象を受けました。
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